「うわっ!」
ぼくが驚きの声を上げると、左耳を舐めた男はこう言った。
「あれ?親愛なる人間へのあいさつはこうじゃなかったのか?」
「じゃあ、これかな?」
今度は自分のワキを、ぼくの肩にこすりつける動作をした。
わけがわからない……。
あ然としていると、その空気を察したのか
「違うのか……」と言って、また次の動作を始めた。
逆を向き、脚と脚の間、付け根あたりにぼくの手を挟んだ、つまり自分のお尻にぼくの手を挟んだ。
なんだ、これは?
「ああこれか!やっと思い出した!これが正しいんだ」男はそう言って
「やぁやぁ、本当に来てくれて嬉しいよ」と、はにかんだ。
その時ようやく表情が読み取れた、そしてかなりの美男子だ。
男は続ける。
「僕がきみを呼んだのはプレゼントをあげるためだ」
「プレゼント?」
「あ、スズ虫を改造して電波信号を飛ばしてきみを呼んだんだ、あれはなかなかの傑作だろう?」
「……。」
「ああ、そうそうプレゼント、これね」
男がかばんから取り出したのは「一匹のトカゲ」だった。
「なにこれ……?」
「プ・レ・ゼ・ン・ト・さ!それも、とびっきり、スペシャル、ハッピー、最高のね!!」
「?……トカゲが?」
「ばかを言っちゃいけない、ただのトカゲじゃないさ!」
「このトカゲの口……いいかい?これをまず上下に開ける、そして中を覗いてごらん?ほら!ほらほら!」
言われたままに中を覗くとトカゲの舌の上に小さな「ボタン」らしきものが見えた。
「見えたかい?それがこのトカゲの秘密なんだ」
「ひみつ?」
「そう」
「どういう?」
「いいかい?このボタンを押すとね……。いくよー?えい!」
ピポパポピン!!
次の瞬間、ぼくは服を着ていなかった。