天使か悪魔か6

「うわっ!」

ぼくが驚きの声を上げると、左耳を舐めた男はこう言った。

「あれ?親愛なる人間へのあいさつはこうじゃなかったのか?」

「じゃあ、これかな?」

今度は自分のワキを、ぼくの肩にこすりつける動作をした。

わけがわからない……。

あ然としていると、その空気を察したのか

「違うのか……」と言って、また次の動作を始めた。

逆を向き、脚と脚の間、付け根あたりにぼくの手を挟んだ、つまり自分のお尻にぼくの手を挟んだ。

なんだ、これは?

「ああこれか!やっと思い出した!これが正しいんだ」男はそう言って

「やぁやぁ、本当に来てくれて嬉しいよ」と、はにかんだ。

その時ようやく表情が読み取れた、そしてかなりの美男子だ。

男は続ける。

「僕がきみを呼んだのはプレゼントをあげるためだ」

「プレゼント?」

「あ、スズ虫を改造して電波信号を飛ばしてきみを呼んだんだ、あれはなかなかの傑作だろう?」

「……。」

「ああ、そうそうプレゼント、これね」

男がかばんから取り出したのは「一匹のトカゲ」だった。

「なにこれ……?」

「プ・レ・ゼ・ン・ト・さ!それも、とびっきり、スペシャル、ハッピー、最高のね!!」

「?……トカゲが?」

「ばかを言っちゃいけない、ただのトカゲじゃないさ!」

「このトカゲの口……いいかい?これをまず上下に開ける、そして中を覗いてごらん?ほら!ほらほら!」

言われたままに中を覗くとトカゲの舌の上に小さな「ボタン」らしきものが見えた。

「見えたかい?それがこのトカゲの秘密なんだ」

「ひみつ?」

「そう」

「どういう?」

「いいかい?このボタンを押すとね……。いくよー?えい!」

ピポパポピン!!

次の瞬間、ぼくは服を着ていなかった。

 

 

 

つづく