「というわけなのさ!」
「いや、あの、ど、どういうこと?説明して??」
ぼくはあたふたしながら色んなところを隠した。
「まぁ、なんだ、しくみや技術の話はわからないだろうから、きみの身に起きた事を話そう」
「結論から言って、今、時を止めた」
あまりにも突飛でわけが分からない。
「そしてそれを証明するためにきみが着ている服を脱がした」
「……。」
たしかに寝巻きを着ていた、それなのに一瞬にして裸同然の格好になった。
「このトカゲは時を止める装置なのさ!」
「ドゥー、ユー、アンダスタン?」
「……。」
「あらら?これもこの星の言葉じゃなかったかな?」
「いや、英語はまだ習ってないだけ」
「あ、そう」
「理解した?」
信じがたいがなんとなく嘘じゃないってことが分かった。
「うん、理解した」
でもなんでトカゲなんだろう?
「そうかそうか!良かった良かった!これで今日は安心して寝れる!さぁ、受け取って!」
トカゲを受け取ると、やけに生暖かった、まるで生きているみたいだ。
ぴくりともしないから生きてないんだろうけど……。
「よし、服も着たし、いいかな?このトカゲ好きに使って?使用方法は教えたし、注意書きも渡しとく」
小さな紙きれを受け取った。
「それじゃね?バイバーイ」
そう言って男は、ぼくの両ほほのお肉を人差し指で「ぷにぷに」とつっついた。
もういいや、と思って、ぼくはその奇妙なあいさつを同じように彼に返してあげた。
女将に案内され旅館を出る途中、さっきの男の名前を聞くのを忘れていたから試しに女将に聞いてみた。
「ああ、あの方ですか、あの方は『神』と名乗られましたよ」