天使か悪魔か12

「ここはどこだ?」

気がつくとぼくは暗闇の中にいた。

「おーい、だれかいるかー」

「……。」

返事はない。

ふと上を見上げると空が見えている。

ここはどうやら穴の中みたいだ。

しかもかなり深い。

イタッ……。

痛い。

体中が痛い。

この穴に気づかず足を滑らせたんだ、ひどく身体を打ちつけたらしい。

「……。」

はやくここから出たい。

「おーい!」「だれかー!」

「……。」

よし、登ってみよう。

身体を動かそうとしたその時

「うぐっ!」

激痛が走る。

左腕の骨が折れているらしい、右足の骨も折れている。

一度骨折をしたことがあるけど、まさにその時の痛み方だ。

間違いない。

まずいことになった。

それでも痛みをこらえて登ろうと頑張った。

15分くらいチャレンジしてみたが、無理だった。

その理由はこの穴の形にある。

上に行くにつれて角度がきつくなり、出口付近が急に「すぼんだ」構造をしているからだ。

ペットボトルの容器の中にいるみたいだ。

ここから出るのは誰かに上から縄を下ろしてもらうしかない……。

暗い闇の中、ぼくは力いっぱい叫んだ。

「おーーーーーーい!!」

「おーーーーーーい!!」

「だれかーーーーー!!」

「助けてーーーーーーー!!」

「穴に落ちたんだ!!」

「腕を骨折している!!足もだ!!」

「おーーーーーーい!!」

「おーーーーーーい!!

「聞こえたら返事をしてくれよーーーー!!」

「……。」

「兄ちゃーーーーーーーーん!」

「助けて!」

声が枯れるまで叫び続けた、何時間もあきらめず。

でも結果は変わらなかった。

誰も助けに来てくれない……。

ぼくはその場に座り込んだ。

しばらくすると、おなかがすいた。

だけど、食べるものなんて持っていない。

都合よく穴の中に落ちているわけもない。

しょうがなく我慢していると、今度はおしっこがしたくなった。

このせまい穴の中でおしっこをするのはちょっと嫌だった。

この先いつここを出られるかわからないけど、それまでずっと自分のおしっこの臭いがするのは気がめいる。

でも仕方ない、出るものは出るんだから、我慢したって苦しいだけだ。

おしっこをした。

やはり臭い、尿ってなんでこんなに臭いんだ?

「……。」

「明日は絶対ここを出るぞ」

猫のように上から砂をかけ、疲れ果てたぼくはそこで寝る事にした。

 

 

 

つづく